今週(1/20週)の振り返りを行いたいと思います。まずは急浮上した日銀の一月利上げ観測について説明します。次に米国CPIと小売売上高の振り返り。次に世界の長期金利と株の動き。最後にさえなかった日本株の動きについても振り返り、来週のポイントである日銀の利上げが株安円高という嵐を呼ぶのかどうかについて説明するという流れでお話ししていきたいと思います。
利上げ観測9割まで高まる
来週1月23日・24日には日銀の1月会合が控えています。ここでの利上げ観測が一気に9割まで高まりました。次の図を見てください。
OIS(オーバナイトインデックススワップ)という政策金利の利上げ・利下げを織り込む市場の動きをまとめたものです。1月17日時点で90%あります。これは、市場は来週の利上げを9割織り込んでいることを示しています。
まずは簡単に、23日・24日に開催される日銀の1月会合で利上げが行われるのではないかと見られている経緯を振り返ります。
昨年12月9日、氷見野良三日銀副総裁が「1月14日に金融経済懇談会出席へ」と報じられました。第11回のマーケットトークでもお伝えしましたが、こういった時期にこういった懇談会に日銀副総裁が出席すること、それも事前にアナウンスされるのは極めて異例のことです。1月の利上げに向けた地ならしを意識し、あえて事前にアナウンスしたのではないかと考えられます。
こういった背景から、当時は利上げの織り込みは60%まで高まりました。ところが、12月19日、植田和男日銀総裁が1月の利上げを示唆する思惑とは反対に、利上げに向けて「もうワンノッチほしいところ」と発言しました。要は利上げには追加の材料が欲しい。そう発言したのです。そのうえ、今後の利上げの鍵として米国のトランプ政権の政策と賃上げの行方、この二つを見極めたいとも発言しました。
そこで一気に「1月の利上げはないのだ」という見方になりました。
それはなぜか。1月の会合はトランプ次期大統領の就任直後に行われます。ですから、政策の具体策は何も見えてこない。また、賃上げにおいても企業の第一次回答が集中する、つまりどのくらい賃上げされるのか、そのおぼろげな姿が見えるのは3月中旬です。ですから、1月ではなく3月の利上げになるだろうという見方になりました。
しかし、今週16日、地銀向け会合の冒頭あいさつで植田総裁から「来週利上げを議論」という発言が飛び出したのです。発言にはおそらくは為替が影響しているでしょう。ドル円160円を相当警戒しての動きではないかと思います。
また、昨年12月に「1月利上げはない」と自らほのめかしておきながらの発言ですから、依然として情報発信や市場との対話に課題が残っていることを示す形にもなりました。