地元の名士の影響力で脅かされる身の安全
中村さんから転居の話を聞かされたのは、くだんの総会から数カ月経った11月のことでした。表向きは長男の小学校進学に合わせて都心にいい物件が見つかったからとのことでしたが、最後に会った時、こんなふうに言われました。
「唯奈ちゃんは地元の幼稚園に通わせない方がいい。できれば、なるべく早く引っ越した方がいい」
その後、唯奈を毎週連れていく児童館のママ友から、中村さんと長男が地元の幼稚園で村八分の状態だったという話を聞きました。陰惨なイジメもあったようです。
幼稚園は地元の寺の経営で、津島さんのお兄さんはその寺の総代。それだけでなく、地主で地元の名士でもある一家は、地域社会に大きな影響力を有していたのです。
中村さんと私は、その絶対的な権力に歯向かったという認識なのでしょう。
東京の郊外にもこんなムラ社会があったことに戦慄を覚えました。夫にもすぐに詳しい話を伝えると、「そんなことがあるんだ!」と驚愕していました。
最近は週末になると引っ越し先を探しに遠出しています。家を売っても数百万円のローンは残りますが、身の安全には代えられません。
当初は居心地がいいと思った郊外のマンションですが、今はここを購入したことを心から後悔しています。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。