工藤敏さん(仮名)は昨年から本格的な年金生活に入ったばかり。奥さまの分とあわせると500万円近い年金収入がありますが、「1年遅れの住民税の支払いもあるし、昨今の物価高でそれほど余裕があるわけではない」と話します。

そんな工藤さんの最近の関心事は、60歳で定年を迎えた後に退職一時金で購入したビットコイン。なんと、昨秋のアメリカ大統領選を機に盛り上がったトランプ・トレードで、数百万円の利益が乗っていたのです。工藤さんにビットコインへの投資を勧めた同僚からは、相場の経験則を理由に「しばらくは持っていた方がいい」と言われたそうですが、個人的には「売る気満々だった」そうです。

しかし、投資情報サイトなどで度々指摘されていた課税関係が気になって、暗号資産の税制に詳しい専門家を探し出し、相談することにしました。「今思えばあれがなかったら、とんでもない税金を払うことになっていたかもしれない」と振り返る工藤さんに、専門家からのアドバイス内容について聞きました。

〈工藤敏さんプロフィール〉

神奈川県在住
65歳
男性
元会社員
妻と2人暮らし
金融資産7000万円

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私は30年以上化学メーカーに勤務し営業部門の部長職で定年を迎え、雇用延長で部門部長として働いた後、65歳を迎えた2024年1月に完全リタイアしました。

公的年金に確定給付年金(DB)と確定拠出年金(DC)をあわせると、年金収入は390万円ほどです。1学年下の妻も2024年の夏から自分の年金を受け取り始めました。こちらは年間で100万円ほどになります。

子供2人は既に独立し、自宅の住宅ローンも4年前に完済しているので同世代の中では比較的恵まれている方かもしれません。

とはいえ、コロナ後のインフレで物価や光熱費が上昇している中ではとても「悠々自適」とは言えません。