子供のケアを優先し、働くことを断念
夫婦2人での子育てには、行き届かないことが多かったのかもしれない。長男の幸人は言葉が遅かった。幸人と2歳違いの長女の茉莉は、すくすくと活発な女の子に育ったことと比べると、幸人は人見知りで、運動音痴であり、音楽のリズム感も悪かった。
3歳の頃に、余りにも他の子と比べてできることが少なかったため、知能に問題があるのではないかと専門の機関で調べてもらった。その結果、知的機能や身体機能に何の問題もないことがわかった。「幸人には幸人のペースがある」と夫婦で自らに言い聞かせて、他の子供と比べたりすることをやめた。そして、幸人をよく見て、幸人が求めていることをくみ取ろうとした。
そんな幸人を第一にした生活をしていたため、彩たちの生活は貧しくなっていった。子供が2人できると、生活費がその分増えた。ただ、幸人を気にして彩は働きに出ることができなかったので、その分生活は苦しくなったのだ。
幸人の検査結果が「問題なし」と判明し、幸人の思うようにさせてみようと考えるようになって、ようやく生活の再建に向けて彩も働き口を探すようになった。幸人を同じ年の子供たちと遊ばせるためにも、保育園に預けた方が良いということも考えた。
ただ、そんな切り詰めた生活をしていても、夫婦で話し合って、子供の誕生に合わせて毎月1万円を、その子のために積立投資をすることだけは実行していた。それが、後に思わぬ効果を発揮する。それは……。
●子供優先で苦しい生活の中でも、毎月の積立投資を続けていた彩夫婦。元本割れも経験した末に待っていた意外な結末とは!? 後編【「子供のために夢をあきらめた」2児の母が、「米国成長株投信」を10年間積み立てた結果に衝撃!】にて、詳細をお届けします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。