遺族として未支給年金を受け取れることに

健太さんはすぐに年金事務所へ行きました。すると、窓口では「宏隆さんが亡くなったことで未支給年金が健太さんに支給されることになります」と説明を受けました。「え、父の年金を自分が受け取れるってどういう仕組みだろう?」と健太さんは驚きます。未支給年金とはどういった年金でしょうか。

そもそも、年金は後払い制を採っています。2月分・3月分は4月振込、4月分・5月分は6月振込、6月分・7月分は8月振込、8月分・9月分は10月振込、10月分・11月分は12月振込、12月分・1月分は2月振込となります。具体的な振込日については、それぞれの偶数月の15日が原則です。

そして、年金は亡くなった月の分まで支給されることになっています。

宏隆さんは7月2日に亡くなったので、宏隆さんの年金は7月分まで支給されることになります。しかし、本来6月分と7月分は宏隆さんに8月15日に振り込まれる予定だったところ、8月15日時点では亡くなっていることから、宏隆さん自身は受け取れません。そのため、6月分・7月分の2カ月分の年金が遺族に支給されることになるのです。

今回のケースでは、宏隆さんにとっての配偶者(健太さんの母)は既に亡く、配偶者の次に優先順位が高い遺族は子であるため、子の健太さんが未支給年金を受け取ることになります。

健太さんは職員からの説明を受けて、「へぇ、そういう仕組みなのか。将来自分も年金を受け取ることになるし、勉強になったな」と納得しました。