消費者金融からの督促状

それからの生活は大きな事件などもなく続いていた。時折くる莉乃のかんしゃくに付き合わされることはあっても、そこまで頻度が多いわけではなかった。

そんなある日、佑典はいつもより少し遅い時間に帰宅した。ゆっくりとドアを開けると、その瞬間に空気が重いことに気付く。佑典はバレないようにため息をついた。またか、と思いながらリビングに向かう。テーブルに座る莉乃は佑典をにらむと早足で近づき、1枚の紙を見せた。

「何これ?」

そこには督促状と書かれていた。

瞬間的に、血の気が引いていく。なぜ、どうして? ちゃんと隠していたはずだ。鍵のついた引き出しに入れ、鍵はしっかり財布に入れて持ち歩いている。

なのに、どうして?

「あんた宛てに見知らぬ封筒があったから、中を確認したの。そしたら、びっくり。消費者金融からの督促状だって。どういうことよこれ?」

まさか、振り込みをし忘れていたのか……!

困惑している佑典に構わず、莉乃は詰めてくる。

「どういうこと? あんたさ、借金があったってこと?」

問われた佑典は静かにうなずいた。

●妻に隠していた借金がバレてしまった。だが、佑典は何のために借金をしたのだろうか……? 後編【「結婚式に800万」産後に性格が変わってしまった妻…式の費用を借金した夫に対する義実家からの「あり得ない仕打ち」
にて、詳細をお届けします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。