義実家一族に似てきた妻

この日は義実家に泊まり、翌日家に帰宅した。そうして家のソファに座るとようやく呼吸ができたような気がした。

「ねえ、何で1日しか泊まらないの? 今日まで泊まっても良かったよね?」

宏太をベッドに寝かしつけた莉乃が突っかかって来た。車の中でずっと不機嫌だったが、それが原因だったようだ。

佑典はゆっくりと体を起こす。

「それは話をしたろ。月曜から仕事なんだから、今日中には帰らないとダメだって」

「だったら、佑典だけで帰れば、良かったでしょ⁉ どうして私まで帰らないとダメなの⁉」

「それは俺は強制してないよ。前に話し合ったときに、莉乃が一緒に帰るって言ってたんじゃないか?」

佑典の言葉に莉乃は眉をつり上げる。

「それはあんたに合わせてあげたんでしょ! 何でそういうところに気付かないわけ⁉ 一人で宏太の面倒見るの大変なの分からないの⁉」

そこで宏太が泣き出し、莉乃はため息をついて、寝室に行ってしまった。

ため息をつきたいのはこっちだった。前回話し合ったとき、明らかに莉乃も親戚付き合いを面倒くさがっていた。だから同じように1泊だけして帰るのに賛同してくれたのだ。しかし想像以上に実家での生活が心地よかったのだろう。それならその場で帰りたくなかったと言ってくれればいいのだ。何から何までこっちのせいにされたら、かなわない。

「そっちのせいで、帰ってきたんだから、お風呂掃除くらいしてよね!」

ヒステリックな莉乃の叫びを聞いて、佑典は重たい腰を上げる。莉乃は産後、明らかに変わった。いや、どんどん義実家一族と同ような顔をするようになったのだ。