キャリアを振り返って思うこと

Nさんに今の仕事の満足度を聞いてみると、次のように答えてくれました。

「8割は大変満足しています。残りの2割は、基本は自分1人でやっているので、若い人と働くことで刺激を受け、学びたいとの気持ちです」

かつては順調に内部昇格をすることをイメージしていましたが、49歳で想像と違うキャリアを踏むことになり、落ち込むこともあったようです。しかし今はそのおかげで、社外のさまざまな方と出会う貴重な経験ができています。それに会社が直面している大きな課題に立ち向かい、現実的に解決の糸口を見つけ出しているという自負もあります。

また、以前在籍していた部署からは、「戻ってこないか」との声もかかります。しかしNさんは断っているそうです。後戻りはしたくないという気持ちと、やはり今の仕事が面白く大きなやりがいを感じているからです。今は自治体の若い人たちと会社の若手との学び合いの場を企画し動き出しているそうです。

Nさんのような人材は貴重だと思います。自社の社員が活躍できる外の会社を探し出す営業マンとしての役割。中小企業の社長や責任者から課題を掘り起こす役割。自社のシニア社員から強みを聞き出す役割。そして中小企業のニーズをシニア社員の強みとマッチングさせるための橋渡しの役割。

まさに昔風に言うと結婚の仲人。今風に言うとマッチングアプリのような役割と言えるかもしれません。

「兼業を進めると本業がおろそかになるのでは?」という疑問にこう答えてもらいました。「兼業を通じて自分の強みに気付き、さらに発揮しようという気持ちになります。なにより貢献することで前向きな気持ちになり、むしろ本業にも力を入れるようになるのです」

兼業の仕事に着任した時に副社長から「シニア社員をリスペクトしなさい」と言われた言葉が今では身に染みます。人は認められることでその力を発揮し、人のために働こうとする。その大切な役割をNさんは担っておられます。Nさんの今後のご活躍を楽しみにしています。

<Nさんの事例から学ぶこと>

①事をなすにはまずは自らが率先垂範して行動で示す
②相手にとって必要なことを引き出すために傾聴する
③分からないことは知っている人に聞き学ぶ