自ら兼業を実践したからこその気付きも

この制度を推進する中で、兼業先の候補の企業からは、「Nさんご自身が私どもの会社に来てもらえば助かるのですが」との言葉をかけてもらい、大変うれしかったそうです。実は兼業を推進するにはまずは自ら実践しなくてはと、Nさんも2社で兼業を実践中です。

そこで分かったことがあります。

まず中小企業では多くの課題を抱えているので、改善した後の喜びが大きいこと。本業で99点のものを100点にするより、兼業先の中小企業で10~30点を50点にする方が、やりがいがあります。うまくいくと褒められ、感謝もされます。本業ではあまり経験できないことでした。

「最初は大変かもしれませんが、それを乗り越えた後の喜びは大きいですね」とNさん。考えてみれば、若い頃はそのような体験をたくさんしてきたのです。同じことが体験できると思うとやりがいにもつながります。

「相手側が求めていることが分かっても、自分には解決できないことが分かると会社に持ち帰ります。そして専門部署の方に連絡し教えてもらう。それから相手に分かるようにまとめます。まさにこれが本当の『リスキリング』ですね」とNさんから笑みがこぼれました。