望月さんが八方ふさがりの状況に陥ったワケ

生前の父から、実家の土地が何代か前の直系尊属の名義のままであることは聞かされていました。父の代で名義を変更することも考え、知り合いの司法書士にも相談していましたが、その頃から体調を崩すことが増え、そのままになっていたようです。

私自身、父の相続の際には手を着ける気になれず、実家の処分が決まったらその時に登記もすればいいやとのんびり構えていました。ところが今年4月からは過去に相続した不動産の登記も義務化され、2027年の3月末までには名義変更を済ませないと10万円の過料が科されてしまう可能性が出てきたのです。

幼なじみの申し出は、実家を特定空き家にしなくて済み、かつ、父の代からの積年の課題を解消するいいチャンスになるかもと思いました。

しかし、いざ取りかかろうとすると、確かにそれは難題でした。登記簿を確認したところ、実家の土地は私が遺影でしか顔を見たことのない曾祖父の名義になっていました。私から数えて3代前ということになります。

昔は子供の数が多かったので、祖父のきょうだいだけで6人はいたはずです。父と私は一人息子ですが、それでも曾祖父の相続人たり得る人は両手では済まないだろうと思いました。

もう自力では八方ふさがりの状況で、これはプロに頼るしかないと、大手の司法書士法人に依頼することを考えました。しかし、何社かのウェブサイトなどをチェックしていた際に、ふと、役所に勤務する妻の弟が話していた「スーパー司法書士」のことを思い出したのです。

役所の司法書士相談で相続や資産承継、不動産の売買・贈与などに関する厄介な相談を親身になって解決し、本来は相手を選べない相談に指名が入る若手の司法書士さんがいるという話でした。

その人なら実家の登記の問題も何とかしてくれるかもしれない。弟に頼み込んで、そのスーパー司法書士を紹介してもらいました。それが中村さんとの出会いでした。

●会ってみると“意外と普通の人”に見えた中村さん。ところがヒアリングが始まってすぐに「スーパー司法書士」と呼ばれる理由が判明! 後編【「連絡先が不明な人も」空き家放置で“21人の相続人”爆誕。どうしても売却したい男性が迎えた結末は…】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。