<前編のあらすじ>
望月亮さん(仮名)は羽田空港の保守管理を行う会社のエンジニアです。空港近くのマンションに家族で暮らしています。
望月さんの実家は山梨県にあり、親の死後、相続した実家を持て余していました。そんな時、実家の隣に住む幼なじみの男性から、「上物はそのままでいいから、売ってくれないか」と打診されます。望月さんにとっては渡りに舟のありがたい申し出でした。
ただ、望月さんには実家について気になっていることがありました。それは、父親が亡くなる前に、実家の土地が何代前かの先祖の名義のままになっていると聞かされていたことです。結局、売却に向けて動くも手続きが難航してしまい、自力では八方ふさがりの状況に。そんな時に思い出したのが、「スーパー司法書士」のことでした。
●前編:【「住んでもいないのに…」相続した実家の税金に悩む男性…売却できず“八方ふさがり”の状況に陥ったワケ】
実家の登記を阻む問題
少子高齢化を背景に、日本の空き家は増える一方のようです。4月末には、全国の空き家の総数が900万を超えたという報道もありました。
私の山梨県内の実家も、3年前に父が亡くなってから空き家になっています。やむなく管理をしていますが、父の三回忌も終えてそろそろ空き家バンクにでも登録し、売却や再利用の道を探ってみようかと考えていました。
そんな時、隣に住んでいた幼なじみから、実家を売ってくれないかと持ち掛けられました。都内で雑貨店を経営し、自身も陶芸家である幼なじみは郷里の裏山に登り窯を造り、家を本格的な陶芸施設に建て替えて観光スポットにもしたいというプランを立てていたのです。
上物はそのままでいい、引き渡しも1年後くらいでという私にとっては大変ありがたい申し出でした。すぐにでも応じたい気持ちでしたが、ネックになったのが実家の登記の問題です。父の存命中に、実家の土地は何代か前の直系尊属の名義になっていると聞かされていました。売却する前に名義を変更する必要があります。
ちょうど今年の4月からは3年以内の相続登記が義務化されていて、実家も2027年3月末までに名義変更をしておかないと過料を科される可能性があります。いずれにせよ登記をしなければならないなら、今回はいいチャンスかもしれないと重い腰を上げました。
しかし、実際に登記簿を確認すると、土地の名義人は私の3代前の曾祖父(そうそふ)で、相続人の有資格者は10人以上に上りそうでした。とても私の手に負えるものではありません。
最初は、それなりの費用がかかっても大手の司法書士法人に依頼しようと考えました。しかし、そんな時に思い出したのが以前、役所に勤めている妻の弟から聞いた「スーパー司法書士」の中村さんのことでした。
若くてフットワークは抜群、親身になって相談に乗ってくれる。そのせいか本来指名は不可の相談に「中村さんにお願いしたい」というリクエストが殺到するくらいの人気だとか。この人ならと、弟に頼み込んで中村さんを紹介してもらいました。