<前編のあらすじ>
横井夫妻は名古屋からの転勤で都内のあるタワーマンション(以下、タワマン)に越してきました。ご主人は貿易会社、奥さんは有名ネイルサロンに勤める華やかな夫婦です。そんな2人ですが、なんと入居即、家賃滞納。あげく5カ月の滞納が続きます。
何度電話をかけてもつながらない中、関係者が催告のため居室を訪れると、妻の優香さんが在宅していました。優香さんは驚きながらも、家賃は「主人が払っている」と主張します。しかし、印刷してきた滞納状況を見せて滞納の事実を説明すると、観念したのか関係者の指示に応じました。
ただ、私はモデルルームのようなその部屋で抱いた“いくつかの違和感”が妙に気にかかっていたのでした。
●前編:【タワマン住み“キラキラ夫婦”が入居直後に家賃滞納…「主人が払っている」と主張する妻への違和感】
その後も、債務者である横井夫妻とは連絡の取れない状態が続いていました。私は他の執行案件も複数あり現地に赴くことができず、時間が経過していくばかりでした。
断行の数日前、私は補助者に連絡を入れ、「●月●日の横井さんの断行は、荷物預かりを想定しておくように」と指示を出しました(断行時、荷物の搬出ができない場合は、倉庫に保管する必要があるため)。また、催告で確認した荷物量から、トラック3台、作業員18名の見積もり指示を出しました。