あまりの暴言に絶句、絶縁を決意
実家の片付けをしている際に、私や弟の子供の頃の絵日記や作文、通信簿などが見つかりました。母が大事に取っておいてくれたのだと思うと胸が熱くなりました。弟に届けてあげようと翌週、初めて弟の引っ越し先を訪れました。
その建物を見つけた時、本当にここで合っているのか、弟からもらった住所を何度も確認してしまいました。弟にはいささか身分不相応な新築のしゃれた物件だったからです。
在宅していた弟は私を部屋に上げることもせず、差し出された子供の頃の思い出の品々に当惑した表情を浮かべました。
「そんなもの、わざわざ持ってきたの? 要らないからどっかに捨ててよ」
その言葉にカチンと来て、言うつもりのなかった言葉が思わず口を突いて出てしまいました。
「何それ? そもそもこんな高そうな物件によく住めるわね。家賃、払っていけるの?」
すると、弟は例の薄笑いを浮かべてこう言ってのけたのです。
「大事な鉄道グッズを置く部屋は確保しないといけないから、狭い家には住めないんだよ。家賃は10万円以上かかるけど、5年間は例の100万円がもらえるし、その後は母さんの“遺産”が入ってくるだろうから大丈夫じゃないの」
あまりの暴言に返す言葉がなく、持ってきたものを全部弟に押し付けると逃げるようにしてマンションを出ました。
リハビリ病院での母は体の自由が利かないのがもどかしそうで、慣れない施設への入居に不安もあるようでした。それでも私や娘、息子が見舞いに行くといつも満面の笑顔で迎えてくれます。そんな母の姿を思うと、涙が止まりませんでした。すれ違う人が心配そうに私を振り返ります。
あいつだけは許さない。私は二度と弟には関わらないと心に決めました。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。