<前編のあらすじ>

私は区役所勤務の夫と中学生の娘、小学生の息子の4人暮らしです。同じ千葉県内の実家には80代の母と独身の弟が暮らしていましたが、昨秋、母が階段から落ちて大腿骨を折り、その後の回復が思わしくないため、高齢者施設への入居を勧められました。

●前編:【優しかった弟はいまや “子供部屋おじさん”―家族を悩ませる45歳男性の「身勝手すぎる言動」】

入居費用を捻出するため実家を売却することに

問題は施設の費用でした。実家や私の自宅のあるエリアの特別養護老人ホームは順番待ちの状態で、母の担当のケアマネジャーさんが探してくれたすぐに入居な可能な比較的料金が安い施設でも、入居一時金が300万円、月額利用料が15万円、別途医療費や介護サービスの利用料がかかるとのことでした。

幸い、母には年相応の物忘れはあるものの認知機能の低下はほとんど見られず、施設入居について話をすると、「つましく暮らしてきたつもりだけれど、預貯金は200万円少ししかない。お前や弘之に迷惑はかけられないから、これからのことを考えると家を売るしかないね」と言われました。

私は20代で家を出ましたが、実家で半世紀近く暮らしてきた母にとって家族の思い出が詰まった家を手放すのはつらい決断だったに違いありません。「うちが援助できれば良かったけれど、住宅ローンもたっぷり残っているし、子供たちもお金がかかる時期だから、役に立てなくて本当にごめんね」と母に謝りました。

実家は私鉄沿線の駅から徒歩で20分ほどかかりますが、100坪の広さがあり、それなりの値段で売れるのではないかと思いました。