試算で「意外な結果」が分かり、ますます悩むハメに……

妻の指摘に従って試算してみたら、3年待って68歳から受給するよりも65歳から受け取り始めた方が76歳までの総額では1割ほど多くなることが分かりました。

妻の意見も一理あると思いつつも、繰り下げが捨てがたいのは、年金の増額効果です。私が10月分から受け取る年金は月額15万円強。来年4月に65歳になる妻の受給が始まっても、世帯で受け取る年金は25万円ほどです。退職金には手を着けておらず2000万円ほどの貯蓄がありますが、完全リタイアした後に夫婦のどちらかが要介護状態になったりしたら、果たして介護サービスや施設の料金を賄っていけるのか、不安しかありません。

そこで、意を決し専門家の方に相談してみることにしました。それが照岡さんです。社会保険労務士の照岡さんは定期的に年金に関する動画をアップしていて、半年ほど前からよく視聴していました。

動画共有サイトのビジネス関係のお問い合わせメールのコーナーから照岡さんに連絡を取ると、その日のうちに返信がありました。

私より20歳以上は年下に見える照岡さんは動画ではややくだけた印象でしたが、返ってきたメールは礼節をわきまえた丁寧なもので、「この人は信頼できそうだ」と思いました。幸いにも照岡さんの事務所が私の勤務先の近くだったので、翌週、事務所にお伺いすることになりました。

●年金受給を目前にして、受け取り時期に頭を抱える天城さん――社会労務士の照岡さんから受けた「意表を突くアドバイス」とは? 後編【年金の受け取りは本当に「繰り下げ」が正解? 64歳男性の不安に専門家が出した答えとは】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。