天城俊雄さんは定年後も勤務先の再雇用で働いてきましたが、今年10月に満65歳を迎えて退職し、同時に公的年金の受給も始まる予定です。しかし、自分なりに年金について勉強した結果、元気なうちはアルバイトなどで収入を得ながら年金の受給を繰り下げた(遅らせた)方がいいかもしれないと考えるようになりました。

1年繰り下げるごとに8.4%年金額が増えるのは魅力的でした。天城さん夫婦には現時点で2000万円の金融資産がありますが、夫婦の年金額だけでは暮らしていくのが精いっぱいで、どちらかが病気や要介護になった時の費用が賄えるのか不安だったからです。

しかし、逆に繰り上げ受給をしたという自営業の同級生から「もらえるものは早くもらった方がいいんだよ」と言われて頭を抱えてしまいます。

悩める天城さんを救ったのが、あるお金の専門家でした。動画共有サイトでも活躍する専門家との出会いと、予想外の解決策に至るまでの経緯を天城さんからうかがいました。

〈天城俊雄さんプロフィール〉

神奈川県在住
64歳
男性
会社員(定年後の再雇用)
妻と2人暮らし
金融資産2000万円

自営業の友人らは「繰り上げ受給派」が多数

定年後は再雇用で働いています。今年10月に満65歳となり、完全リタイアするかどうか迷っていました。

再雇用で働き出した頃は年金などまだまだ先の話と考えていましたが、昨年からは特別支給の老齢厚生年金(1985年の年金改正の経過措置として、一定期間に生まれた人は65歳より早い時期から老齢厚生年金を受給できる)を受け取るようになり、気が付けば、あと半年ほどで年金の支給が始まるところまで来ました。

昨年辺りから年金のことが気になり、再雇用で働く同期や地元の友人などと話をする機会が増えました。驚いたのは、家業を継いだ自営業組では、60歳から繰り上げ受給をしている人が半数以上を占めていたことです。