大手繊維メーカーで副部長職まで上り詰め、定年後の現在は嘱託社員として働く片桐淳吾さん(仮名)。身長185cmの長身で、中学から高校まではバスケットボールの選手として活躍していたそうです。

「当時は勉強もそこそこできたので、人生最大のモテ期でしたね」。そんなプライドを胸に出向いた同窓会でチヤホヤされていたのは、学生時代は片桐さんの子分格だったという「ねずみ」こと松橋さんでした。松橋さんは自身の投資体験をブログやYouTubeで発信し、カリスマ個人投資家として人気になり本まで出版していたのです。

片桐さんの胸の奥で松橋さんへの嫉妬の炎がメラメラと燃え上がりました。そして、投資体験がほとんどないにもかかわらず、「ねずみごときに負けてたまるか」と証券会社の営業職員を通してバイオ株や高利回りの債券に2000万円を投資します。

しかし、バイオ株は購入直後から下がり続け、債券も1年後にノックイン。その時点で投資した2000万円は半分になっていました。「定年直前なのにこれはまずい」と青ざめた片桐さんがすがった相手が、あるお金の専門家でした。

〈片桐淳吾さんプロフィール〉

東京都在住
63歳
男性
大手繊維メーカー勤務
専業主婦の妻と2人家族
金融資産4000万円

***
 

トラブルのきっかけは、定年を迎える前年の末に郷里のホテルで開かれた高校の同窓会に出席したことでした。約20年ぶりだったこともあり、クラス40人中20人を超える同級生が顔をそろえました。中には既に亡くなっていた人も数人いて、時間の流れを感じたものです。