証券会社の担当者に運用を相談

まずは2000万円程度から運用を始めたいというと、営業職員は同社のストラテジストによる世界や日本の株式市場のシナリオの資料を示し、コロナ禍で動意づいているバイオ株と、株式のリスクヘッジとして高利回りの債券を勧めてきました。その見立ては、素人の私から見ても「なるほど」と膝を打つものでした。

しかし、意気揚々と本格投資デビューを飾ったにもかかわらず、1年もたたないうちに件の債券がノックイン。バイオ株も購入後間もなく天井を打って下がり続けたため、その時点での評価額は1000万円を切っていました。直後に仕組債問題がメディアなどで大きく取り上げられ、私は自分が投資していた債券がその仕組債の一種だったことを知ったのです。

正直、狐につままれたような気持ちでした。株式や債券に値下がりリスクがあることはもちろん承知していましたが、まさか1年足らずで投資額が半分になってしまうとは……。

担当の営業職員に抗議しても、「すみません、すみません」と繰り返すだけ。それどころか、半月後には「もう1度だけチャンスをください。ここは仕切り直しましょう」と損切りして別の銘柄への乗り換えを提案してくるありさまです。

定年退職が迫っている中、さすがにこのままではまずいと思っていたところ、定期購入していた経済誌でIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)という職業があることを知りました。

早速、IFAの紹介サイトで頼りになりそうな専門家を探し、会社の近くに事務所を構えるIFA事務所に資産運用相談の予約を入れたのです。今思えば不幸中の幸いだったのですが、それが今泉さんとの出会いになりました。

●今泉さんに提案された戦略とは? 後編【「今となっては黒歴史」投資で大金を失った男性が“3年でリカバリー”できた理由】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。