「資産運用をしながら取り崩せば資産寿命が延びる」という話を聞いたことはないでしょうか。特に老後資金ではそのように説明されます。
確かにその通りですが、筆者はもし運用がうまくいかなかった時のことを考えると、“老後までに資産寿命が延びない前提”で必要額を全額準備しておくべきだと思っていました。しかし、あるご相談者の家計状況を見て「必ずしも全額準備する必要はないかもしれない」と、考えが変わりました。
その方の家計はどのような状況だったのでしょうか? 当時の驚くべき状況をお伝えします。
「2億円」を手にした50代・会社員男性の悩み
吉岡さんは地方の中堅企業で働く会社員、50代です。相談内容は「早期退職をしても、その後の生活は成り立つか?」という内容でした。もともと吉岡さんは、今の会社で定年まで働くつもりでいました。しかし2年前に状況が一変します。
親の財産を相続することになり、その金額がなんと「2億円」という大金だったのです。吉岡さんの年収は700万円。これから吉岡さんが退職までに稼ぐであろう金額をはるかに超えた金額です。