義母と義妹の関係
夏子は隙を見て、トイレに行くと言ってその場を離れる。そして玄関を出て外の空気を吸った。
「夏子叔母さん、久しぶりだね」
振り返ると莉奈の姿があった。莉奈は親戚の子供たちの中で最年長で、いつも子供たちの面倒を見る係だった。
そのためか、普通の10歳よりもかなり大人びて見える。
「大変だね。皆からいじめられて」
莉奈の言葉に思わず苦笑する。
「ははっ、そんなことないよ」
「そんなことあるよ。お母さんね、いつも家ではおばあちゃんにしかられているから、今日はその分のストレス発散で叔母さんに当たってるの。ホント、この日のお母さんもおばあちゃんも私は嫌い」
それを聞き、夏子は少し納得をした。
なるほど、決してあの2人は関係が良好というわけではないのか。
何となく夏子は自分が責められる理由を理解した気がした。
そうなると少しだけ怒りが静まっていく。
「私も叔母さんみたいにずっと仕事をバリバリできるキャリアウーマンになりたいんだ!」
莉奈はそう言うと、また子供たちの輪に戻っていく。
その言葉は夏子にとってなりよりの栄養剤だった。
●夏子はこの地獄のような義実家で年末年始を乗り切れるか? 後編【子供たちが山で行方不明に…親族一同あ然となった義母の“無慈悲すぎる”決断】にて、詳細をお届けします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。