私は都内の不動産管理会社の管理部門で勤務している、いわゆる「債権者代理人」です。不動産会社の代理となり、家賃を滞納する居住者への対応を行っています。
仕事の内容は、例えば内容証明郵便で賃貸借契約の解除通知をしたり、物件の明け渡しを求めて裁判を起こしたり……。裁判所から退去を命じる判決が出ても、なお物件に居座り続ける居住者には、強制執行といって建物から強制的に退去してもらうこともあります。
今回は、「30代女性・山下洋子さん」の事例をご紹介します。
アパレル会社勤務・30代女性のケース
5月の快晴の日の出来事です。ある居住者に対して建物明渡の判決、「債務名義」が出たという知らせを受けました。債務名義というのは、要するに「未払いの賃料があるので、部屋を明け渡しなさい」ということを意味する裁判所からの判決書です。
<債務者プロフィール>
・山下洋子さん(仮名)
・39歳女性、独身
・都内マンション居住
・アパレル関係の会社に勤務
・月額家賃 70500円、共益費 4000円
・入居から3年
・家賃滞納5カ月
山下さんは入居して3年ほどは何の問題もありませんでしたが、ある時から急に家賃滞納が始まりました。緊急連絡先にある両親の連絡先は何度電話をかけても全くつながらないので、私はまず山下さんのマンションへ行き、現地の様子を確認することにしました。