入籍は白紙に

それからも彼は母親や姉の説得を続けたが、何かと理由をつけて入籍を延期させる。一方で片桐さんに対して母親や姉は、結婚を諦めるよう逆に説得してくる。

ついに彼は、「お袋の言う通りに何度も延期してきたじゃないか! もう延期しないよ!」と言った。すると母親は、「何よ! 延期してればそのうち別れると思ってたのに!」と逆上。その言葉に彼はがくぜんとした。

彼は、「これまでの俺の努力や時間は何だったんだ?」という憤りと、自分たちを別れさせたいがために、母親が低俗なことをしていたという事実に落胆。

2人で婚姻届を記入し、それぞれの友人に保証人になってもらい、「さあ提出に行こう」となったところで、またしても母親からストップがかかる。

「もう入籍は止めないから、蘭子さんとお姉ちゃんの確執だけは解決してから入籍しない?」と言う。数日前に片桐さんは、彼の姉から、「あなたの親に意見するから連絡先を教えなさい」と言われて断ったことで関係が断絶していた。

母親から提案された彼は、あろうことかこう言った。

「その1点だけって言ってくれてるんだ。1つくらいは俺らも譲歩してもいいんじゃない? 姉と和解してから入籍しないか?」

「……バカなの? と思いました。今まで出された条件をいくつ飲んで来たか忘れたの?……と。私はもう二度と彼の母親とも姉とも関わりたくなかったし、正直彼への不信感も大きくなっていたため、『もう入籍はしなくていい。その代わり、もうお義母さんやお義姉さんからの連絡も受けない』と言いました。別れたくなるまで付き合っていればいいと思ったのです」

●その後、彼は母親が“毒母”だと気付くことに。きっかけは何だったのか? 後編【NHK受信料に猫の病院代まで…「毒家族」の搾取に耐える男性が絶縁を決意した“決定的な事件”】で詳説します。