過干渉な母親と姉

彼の母親と姉は、「バツイチであなたに近づくなんて、財産をしぼりとったあと、あなたのことを捨てるつもりに違いない! バツイチの女なんて絶対に反対だ! バツイチの嫁が来るなんて恥ずかしくて外を歩けない!」と怒り狂い、「絶対に会わない! 電話もしない! 一切関わりたくない!」と責め立て、片桐さんを拒絶した。

加えて姉は、「私も離婚しているから離婚がダメだとは言わないけど、普通、離婚したら自分の何がいけなかったか振り返るのに10年くらいは必要だし、同じ過ちをしないという保証がない限り簡単に再婚など考えられないはず。2年で再婚だなんて怪しい」と言ってきた。

さらに母親は、片桐さんの両親に対しても、「バツイチの娘をうちの立派な息子にもらってもらうありがたみが分かってない! 息子の経歴を傷つけるんだから土下座するべきよ!」と言った。

離婚理由の説明を求める彼の母親

プロポーズから半年ほどたった頃、母親が、「離婚理由を説明しに家に来てほしい」と言うため、仕方なく菓子折り持参で伺う。

「上の2人は働きながらだったから姑(しゅうとめ)に任せっきりになってしまったけど、この子の時は専業主婦だったから1から私が育てたの! だからこんなに立派になったのよ!」

「恋愛のことは教えなかったからあなたみたいな人を選んじゃって。この子、今年厄年なの。私、あなたが厄だと思うのよ。まだ結婚するには若すぎるんじゃない? 私が全部お世話してあげるから焦らなくていいのに……」

母親は1時間ほど喋りまくると、ようやく片桐さんの離婚理由の話になる。

「お互いの価値観が合わなかっただけで、特にひどいことをされた訳ではないので、元夫が悪者にならないように、極力、客観的に説明するようにしたのですが……」

母親は、「前の旦那さん、悪い人には思えないんだけど。あなたがワガママなんじゃないの?」と片桐さんを非難。

彼が助け船を出すと、「相手ばかり悪く言うなんて都合がいい人ね!」とさらに険悪に。

そこで片桐さんは気付いた。「離婚理由を聞いてから結婚を認めるかどうか判断するというのは建前で、徹底的に反対するネタを集めるためだけのイベントに過ぎなかったのだ」と。