謝礼の金額は言い値の100万円
最近は葬儀業界も競争が激しくなっているそうで、葬儀費用は私たち遺族が拍子抜けするほど安いものでした。だからこそ悪目立ちしたのが檀家寺への謝礼の額です。
母の友人の紹介で葬儀自体は地元のJAに依頼し、檀家寺とのやり取りもJAの担当者にお任せしていました。すると、通夜の前日になっていきなり、担当者が「お寺さんが一本でお願いしますとおっしゃっています」と言ってきたのです。
一本、つまり100万円です。これには私も妹も言葉を失いました。母の希望で院号つきの戒名をつけていただきましたが、通夜や葬儀の会場は檀家寺以外の場所を用意し、お坊さんには戒名の他、通夜と葬儀、そして葬儀と同日に執り行った初七日の読経をお願いしただけです。お坊さん便(※)を頼めば葬儀のお布施が10数万円で済むという時代に、100万円はあまりに高すぎると感じました。
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しかし、JAの担当者に「それはちょっと」と言いかけた私を、「お寺さんはそういうものだから」と母が止めました。喪主は母ですし、他家に嫁いだ娘たちがあれこれ言うのもはばかられ、“言い値”を受け入れる形になりました。100万円が入るようなお布施袋は準備していなかったので、妹が慌てて隣町の大きな文具店まで車を走らせ、分厚いお布施袋を調達してきました。
いつまで払わされるのか……終わらないお布施の要求
しかし、それだけでは済みませんでした。JAの担当者からは通夜や葬儀の際のお坊さんの車での送迎や、お弁当やお土産の支度まで、あれこれ指示されました。地方の葬儀では当たり前のことなのかもしれませんが、妹などは「いったい何様?」とむくれていました。
初七日の法要の後にはお坊さんが講話をしてくださったのですが、それは「この後も四十九日、初盆、一周忌、三回忌、七回忌……と法要が続いていきます」というもので、事前に1回の法要につきお布施が10万円と聞かされていたこともあり、いつまでお布施を払わされるのかとどんよりした気持ちになったものです。