目立ち始めた異変

母親は食欲がない様子で、好きだったお酒も、「今日はお祝いだから、一口だけ」と言ってほとんど飲まなかった。春日さんは気になりつつも、自分の産後の痛みや初めての育児に忙殺された。

退院から約1週間後、娘の沐浴をしてくれていた母親の動きがおかしいことに気付いた春日さんは、「どうしたの?」とたずねると、「なんか、お腹が痛いの」と母親。すると夫が、「あとは僕1人でできますから、大丈夫ですよ」と言ってくれたため、母親はソファにうずくまるようにして座った。

春日さんの産後の痛みが良くなっていくのと反比例するように、母親の腹痛は強くなっていった。そして春日さんの退院から1カ月たつ頃には、痛みで布団から起き上がれないほどになっていた。

最初は「尿路結石」と診断されたが……

2022年2月。母親が近所の消化器内科を受診すると、「尿路結石」と診断された。その夜、母親は痛みのせいで眠れず、翌朝も同じ病院を再受診。すると、「念のため大きな病院へ」となり、紹介状を手に帰宅した。

翌朝一番で母親は、父親の運転で大学病院へ向かう。「検査に時間がかかるから一度帰っていて」と言われ、家に帰ってきた父親は、玄関やリビングを行ったり来たり。

「迎えに行ってくる」と突然言い出すため、春日さんは娘の世話をしながら、「連絡来るまで家で待っててって言われてるでしょ」とたしなめるが、「病院の玄関で待ってるから!」と言って行ってしまう。その日父親は、車で15分の距離を4往復した。

母親は17時に帰宅。検査結果はまだ出なかったが、大学病院の医師に「尿路結石ではない」とだけ告げられた。