二世帯住宅で始まった同居

2018年。30歳になった春日さんは、仕事を通じて知り合った2歳年下男性と交際を始め、翌年に結婚。実家の近くで新婚生活を始めた。

「私が一人娘だったこともあり、母が、『結婚しても近くに住んでほしい』と言っていたのと、私も住み慣れたエリアで暮らしたかったので、実家から離れようとは思いませんでした。その代わり、職場は家から1時間半もかかります」

春日さんは結婚して家を出てからも、母親とは月に何度も会い、数日に1回は連絡するほど仲が良かった。

2020年。実家を二世帯住宅に。それまで1階は賃貸と2台分の駐車場で、2階と3階で両親が暮らしていたが、1階を1台分の駐車場だけ残してあとは春日さん夫婦の居住スペースにし、同居することとなった。

「婿に入ってくれた夫は、元の間取りのままで同居してもいいと言ってくれていましたし、義両親も、『別々に住んでいる方がお金がもったいない』と言って賛成してくれました」

リフォームにかかった費用は、春日さん夫婦が支払った。

出産後、再び母が体調不良に

2022年1月。春日さんは女児を出産。コロナ禍で面会禁止のため、前日から夫は病室に泊まっていた。

春日さんは母親に娘を見せたくて、ビデオ電話をする。母親はとても喜んでくれたが、どこか元気がなく、「ちょっと喉が痛くてね。あと、なんか食欲なくて」と言った。電話の奥からは、「おーい、いつ帰ってくるんだー?」と父親の声。この頃父親は時間感覚が鈍り、数分おきに同じことを何度もたずねた。

春日さんと母親は、運転免許証を返納するよう父親に勧めてきたが、一向に聞き入れない。68歳でがんを患い、嘱託の仕事を辞めてからは、母親と気ままに過ごしていたが、家の外の掃き掃除と食器洗いだけは毎日欠かさなかった。

退院の日、母親が父親の運転で迎えに来た。予約してあったお寿司を受け取り、帰宅する。