徐々に目立ち始めた問題行動の数々
瞬太君は子供食堂に来ても周囲の子供とコミュニケーションを取ることもなく、ご飯を食べた後はずっとゲームに没頭していました。常に最新の人気のあるゲームソフトを入手していたので、他の子供が物欲しそうに寄って来ても、貸してあげるとか、一緒にプレーするといった発想は全くないようでした。
オーナーが何度か「瞬太君、すごく面白そうなゲームだね。皆がうらやましがっているから、ちょっとだけ他のお友達にも使わせてあげたら?」と声をかけたのですが、「慣れない奴に貸して壊されると嫌だから」と拒否されました。
かと思えば、晩ご飯が好きなメニューの時は、平気で何杯もお代わりを要求します。「そんなに食べるとお腹壊すよ」と言っても、「おいしいものはいくら食べても大丈夫」と譲りません。
一人っ子で年下の子供と接する機会があまりないせいか、低学年の子供たちがテレビのアニメを見ながら大騒ぎしていた時、突然近づいていって「うるさい! 黙れ!」と怒鳴りつけたこともありました。
保護者からの苦情
問題行動の多い瞬太君は、子供たちからも敬遠されていたようでした。ある日、常連さんのお母さん2人がオーナーのもとを訪れ、こんな話をしたのです。
「いつもお世話になっている立場で、こんなことを言うのは本当に心苦しいのですけれど、瞬太君、何とかなりませんか? 下級生の子供たちが怖がってるんです。一緒に遊ぶわけでも勉強を教えてもらうわけでもないのに、どうして子供食堂に来るんだか……。瞬太君なら、お家で好きなものをお腹いっぱい食べられるじゃないですか」
「そうですよ。そもそも、グッチのバッグを持ってるような子供が子供食堂に来るっておかしくないですか? お母さんもお母さんですよね。子供食堂のこと、タダでご飯まで食べさせてくれる託児所くらいに思ってるんじゃないですか?」
その後、他の保護者からも同じような苦情を聞く機会が増えてきました。こうなると、子供食堂の運営側としても事態を放置しておくわけにはいきません。忙しいオーナーに代わり、私が瞬太君のお母さんと話をすることになりました。
●瞬太君のお母さんとの面会で発せられた“スーパー自己中”な理論とは? 後編【「言葉を失いました」対面した問題児の母に浴びせられた衝撃の言い訳】で解説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。