普段は和やかな雰囲気の子供食堂
カフェオーナーの友人は専業主婦の私から見ても本当に料理が上手で、ふわふわのエビチリオムライスや南国フルーツたっぷりのカレーなどが子供たちに大人気。カフェのアルバイトの大学生が勉強を見ているのも好評で、コロナ禍で利用者が大きく増え、多い日は30人近くの利用があります。
利用者の多くは小学生。彼らから見れば私などはお祖母ちゃんに近い年齢なのでしょうが、慣れてくると学校や家庭での出来事、好きなお笑いタレントやゲームなどの話を聞かせてくれるようになり、ぐんと親しみが増します。
大半は学童保育の児童ですが、最近はシングルマザーのお子さんが目立ちます。当時4年生だった瞬太君もその一人。でも、他のご家庭とは少し事情が違いました。
利用者の中で浮いていた瞬太君
瞬太君のお母さんは美容外科医だと聞きました。オーナーが教えてくれた勤務先の美容外科のウェブサイトを見ると、40歳過ぎとは思えない女優さんのように華やかな雰囲気をまとった女性の写真が掲載されていました。
シングルマザーとはいえ、職業柄、一般的なサラリーマンよりはかなり多い収入があるのでしょう。瞬太君の服装や持ち物を見れば、他のお子さんたちとの差は歴然でした。
子供食堂の本来の趣旨は、「孤食」を余儀なくされる子供たちに居場所を与え、食事の提供を通して「食育」を行うことですから、高所得を理由に利用者を排除することはできません。
しかし、実際に子供食堂にやって来るのは、家庭の事情や経済的な理由で自宅では栄養の行き届いた食事を十分に取ることができない子供たちばかり。瞬太君は行動や性格的な問題もあり、利用者の中で浮いた存在でした。