地方の建設会社に40年勤務した私と専業主婦の妻が受給している年金は、月額に換算して22万円、手取りだと18万~19万円程度です。退職時は預金残高が2000万円くらいありましたが、自宅のリフォーム代や息子たちへの資金援助などで半減してしまいました。

●普通のサラリーマンを待ち受ける年金生活の現実とは?
※前編【「年金22万円」ではカツカツ…“普通の会社員”が迎えた厳しい老後】からの続き

経済基盤を揺るがした想定外の出来事

会社を辞めてから10数年は何とかやってきましたが、ここに来てわが家の経済基盤を揺るがす大きな問題が生じました。2歳年下の妻の認知症の症状が進み、最近は私の手に負えなくなったのです。

妻は元々明るく社交的な性格で、現役時代に私が仕事で苦境に陥った時は、その屈託のない笑顔がどれだけ救いになったかしれません。しかし、3年ほど前からふさぎ込みがちになり、かかりつけ医の勧めで脳ドックを受診したところ、アルツハイマー型認知症と診断されました。

妻は料理が得意で、息子たちがいる頃はいつもテーブルいっぱいに手の込んだおかずが並んだものです。にもかかわらず、近年は習慣で台所に立っても、自分が何を作ろうとしているのが分からなくなってしまうようでした。

買い物に出掛けて家に帰れなくなり、警察に保護された妻を迎えに行ったことも何度かありました。そればかりか、夜中にトイレに行って自室に戻れなくなったり、時には錯乱して大声を上げたりもしました。

介護保険で要介護3と認定され、デイケアや訪問介護のサポートを受けていましたが、とうとう妻の介護計画を担当するケアマネジャーから、「ご主人も大変でしょうから、そろそろ施設介護を検討した方がいいかもしれませんね」と勧められました。