サラリーマンが人並みの老後も送れない現実

それにしても、ごく普通のサラリーマン人生を真面目に歩んできたはずの私が、70代になってこんな思いをするとは想像もしていませんでした。現役時代にコツコツと投資でもしていればもう少しは懐具合が良くなっていたのかもしれませんが、今さら何を言ってもあとの祭りです。

これからの日本は「異次元の少子化対策」が強化され、われわれ高齢者はますます冷遇されることになりそうです。年金は増えないのに、税金や社会保険料の負担は重くなる。人生100年時代と言っても、このままでは自分の寿命を全うできる自信がありません。

思えば、私の親世代の高齢者はもっと豊かでした。亡くなった父もサラリーマンで母は妻と同じ専業主婦でしたが、退職して家督を兄に譲った後は2人して日本の名所や温泉を巡って余生を楽しんでいました。それに加えて、私の息子2人の大学資金まで援助してくれたのです。

今の私に、とても同じことができる余裕はありません。時代の違いと言ってしまえばそれまでですが、普通のサラリーマンが人並みの老後すら送れない国で、果たして若い人たちが子供を持ちたいと思えるのでしょうか。

妻と離れ一人暮らしになった今は、毎晩届く500円の宅配弁当が唯一の楽しみです。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。