35歳までには結婚したいと考えていましたが、「この人」と思えるような相手になかなか出会えず、気が付けば三十路を迎えていました。そこには、大阪の商家で育った私のお金に対する価値観が大きく影響していたように思います。
過去に私が出会った金融機関に勤務する男性たちは、貯蓄や投資でお金を貯めることが上手な一方、気前よく使おうというタイプではありませんでした。一方、私の実家では、ここぞという時は大胆にお金を使います。
阪神淡路大震災が起きた時、父は40歳を超えたばかりで先代の祖父から家業を引き継いだ直後だったそうですが、被災した店の修繕でなく全面改装を選択しました。それを機に細かい温度管理ができる倉庫を充実させ、通信販売に力を入れたことが今につながっています。
兄が大学卒業後にアメリカの大学院で経営学修士(MBA)を取得した時も、親戚筋から「卸問屋の跡継ぎがそげな資格取ってどないすんねん?」と言われながらもお金を出していました。
父は「金は天下の回り物、貯めるだけじゃのうて世の中に流すことも大切や」とよく話していました。大阪商人のDNAか、結婚相手にはやはり父のような人を求めてしまいます。
その意味で今の彼は私の理想に近く、この1年ほどは彼との結婚を真剣に考えてきました。しかし、ここに来て、そうした私の気持ちを揺るがすような彼の不可解な言動が続きました。
●やっと出会った理想の彼氏のはずが、徐々に疑いが深まり……
※前編【「何これ?」偶然見たハイスぺ彼氏のカード明細書に驚愕…深まる疑念】からの続き
ひょっとして自己破産…?
聞き逃せなかったのは、私がペア住宅ローンの話をした際、彼が「俺、ローンの審査が通らないかもしれない」と漏らしたことです。私は以前、勤務先で融資担当をしていたことがあります。「多重債務者?」「ひょっとして自己破産してる?」。良からぬ想像が頭をよぎりました。
「私に話してないこと、あるよね?」と迫ったところ、彼がしぶしぶ打ち明けてくれたのが次のような話でした。