彼が隠していた金銭事情
実家のご両親は自営業だったこともあり、年金は2人合わせて月額10万円程度。家賃や光熱費などを支払うと、手元にはほとんど残りません。そこで、一人っ子の彼がやむなくご両親の生活費を負担していたのです。詳しく聞いてみると、その負担額は毎月20万円近くにまで上っていました。
ご両親は欲しいものがあったらすぐに買ってしまうタイプで、現役時代から稼いだお金は右から左へと流れていき、ろくに貯蓄もしていなかったようです。
彼の進学に際しても「大学に行くなら学費は自分で何とかしてほしい」と言われ、奨学金を借りてアルバイトをしながら大学を卒業したとのことでした。
結果として生活費だけでは済まず、「家電が壊れた」「マッサージチェアが欲しい」といろいろねだられていたようです。理不尽な要求は却下しているらしいのですが、生活必需品は援助せざるを得ず、私が彼のパソコンデスクで見つけたクレジットカードの明細にあった8Kテレビも、両親のためにボーナス払いで購入したものでした。
とどのつまり、彼は手取りで600万円近い年収を得ていながら毎月20万円とボーナスの大半を持っていかれ、慢性金欠状態だったのです。
それでも私の前で情けない姿を見せるわけにはいかないと見栄を張っていたら、キャッシングローンの残高が100万円以上に膨れ上がり、住宅ローン審査が通らないだろうと話したわけです。
それは、私にとって衝撃以外の何物でもありませんでした。明るくて話し上手な彼のご両親がそんな“毒親”だったとは。事情が事情とは言え、彼自身もキャッシングローンを抱え込むような人だったとは。