南さん一家が都内へ戻れた理由

私たち家族だけだったらとても、ここまでの迅速な決断、そして行動はできなかったと思います。「勇気ある撤退」と背中を押し、ご自身もお忙しい中で的確なアドバイスやサポートをしてくださった香川さんのおかげです。

引っ越し後に改めて香川さんの事務所にあいさつにうかがった際に聞いたのですが、私と同年代の香川さんは、転職情報会社、代理店、不動産会社、独立系FP会社……など10社近くを渡り歩いた末に独立したのだそうです。雇用が流動的になり働き方も多様化している今ならともかく、私たちの世代では珍しいことです。

「何でも一発でうまくいく人なんて、そうはいませんよね? 私自身、基本的に人生はトライ&エラーの連続だと思っています。確かに就職面接で『転職が多いね』と言われたことはありますが、おのおのの会社での経験は今、FPとして活動する上で役に立っています。無駄なキャリアは1つもありません」

香川さんのような方との出会いがあったからこそ、私たちはこうして東京に戻って来られたのだと思います。

とはいえ、私たちは人生をリセットしたばかりです。相変わらず懐具合は厳しいままで、今後は子供2人の教育費の負担も増えます。

これまでは私の扶養に入ることを優先して「年間103万円の壁」を越えない範囲で収入を得てきた妻の働き方をどうするか、来年からスタートする新NISA(少額投資非課税制度)をどう使っていけばいいのかなど、香川さんに教えていただきたいことが山ほどあります。

今後も人生の指南役として、迷える私たちに道を示していただけたらと思います。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。