相内奈津子さん(仮名、以下同)は飲食店グループを一代で築いた夫を40年近く支えてきました。夫が引退し、老後は旅行や趣味をのんびり楽しもうと計画していたところ、一人息子の和也さんが急死してしまいます。

いずれグループを引き継がせようと、和也さんに少しずつ個人の財産を移転していた矢先の急死に相内さん夫婦は大きく悲嘆。しかし、さらにショックだったのが「和也の財産は法律上、実子である蒼空(そら)に全て引き継がれることになる」と税理士から聞かされたことでした。

和也さんには別れた前妻(美穂)との間に中学生の息子がいました。相内さん夫婦にとっては初孫ですが、和也さんの離婚以来10年近く一切の交流がありません。前妻の“本性”を知る相内さんは、「全てあの女の計算なのでは」とやり切れない思いになり……。

●とんでもない過去が発覚、離婚時に衝撃の要求?
※前編【“依存症”妻が不倫、離婚後に元夫は急死…「恐ろしい計画」に絶句】からの続き

前妻との話し合いで言葉を失う

税理士の諸星さんを交えた話し合いの当日、美穂は中学生になった蒼空を連れ、勝ち誇ったような顔でわが家にやってきました。10年前より化粧が濃く、派手な服装からどんな仕事をしているのか、おおよそ想像がつきました。

「この度は大変ご愁傷様でした」という全く心のこもっていないあいさつの後、蒼空は今有名私立中に通っていて、仕事を掛け持ちしながら必死でここまで育ててきたと熱弁をふるいました。

「だから、和也さんがこのような形で突然いなくなってしまったのは残念ですが、蒼空の将来のためにいくばくかのお金をいただけるなら、本当に助かります」

なんてしらじらしい、と思いました。主人も私と同じ思いだったはずですが、「和也は私たちにとっても大切な一人息子だからね。税理士さんの助言に基づいて、この数年間、相続税対策として財産の移転を行っていたんだ」と冷静に現状を説明しました。主人としては、話し合いで私たちにも多少は財産を戻してほしいと考えていたのでしょう。

それに対する美穂の答えは、私たちを震撼させるものでした。