都内の化学メーカーに勤務する後藤慎吾さん(仮名、31歳)は音楽講師の妻・沙織さんと2人暮らし。2年前、結婚を機に新居を探している中で理想的な新築マンションに出合います。それは神奈川県の再開発エリアに建設予定のタワーマンション。しかも眺望や間取りが素晴らしい最上階の部屋でした。
購入価格は7000万円と高額でしたが、後藤さんには2000万円超の預貯金があり、その時点でローンの変動金利も0.5%弱と低金利だったこともあって契約することに。唯一、引き渡しが2年後の2023年という点だけが気掛かりでした。
そして2年後の今、当時とは状況が一変。後藤さんはコロナ禍の影響で会社の業績が低迷し減収を余儀なくされ、さらに値上げラッシュで家計は火の車に。懸念していた金利上昇も現実のものとなり、返済の負担が増すことを不安視した後藤さんは妻に「あること」を打診します。すると妻は激怒、後藤さんは途方に暮れてしまい……。
●「いまさら何を!」妻がブチ切れた理由
※前編【「タワマン最上階」契約後にまさかの事態…明るい妻が豹変した決定打】からの続き
ネットで見つけた「お金の専門家」に相談
2年前に契約した新築タワーマンションへの入居が迫る中で家計が逼迫、しかも、住宅ローン金利も上がってきている。コロナ禍で住宅ローン破綻が急増したという報道を見ていたこともあり、このまま入居しても大丈夫なのか、正直、夜も眠れない日が続いていました。ファイナンシャルプランナー(FP)の肥後さんの事務所を訪れたのは、そんな矢先の2023年1月下旬のことでした。
肥後さんに相談したいことは大きく2つありました。1つは、このまま金利は上がっていくのか、その場合は契約時の金利水準が続く固定金利のローンを選んだ方がいいのか。もう1つが、わが家はこの状況で住宅ローンを組んでも大丈夫なのか、違約金を支払ってもマンション契約をキャンセルした方がいいのか、ということです。
肥後さんはご夫婦で事務所を経営していて、同業の奥さまがガチガチになった私たちに「マイホームは一生に一度のお買い物だから心配事が多いですよね」と優しく声をかけ、手製のハーブティーをふるまってくれました。ハーブティー好きの妻が「この味、初めてです。何をブレンドしているんですか?」としばらく話が盛り上がり、私たちの緊張がほぐれた頃、肥後さんが切り出しました。