「金利が上がってきたせいか、最近は『住宅ローンを固定金利にした方がいいですか』という相談が多いんですよ」

まさに、私が聞きたかったことで、「それで、肥後さんはどうアドバイスされているんですか?」と身を乗り出したところ、肥後さんは笑って「まぁまぁ、そう慌てずに。その前に今の住宅ローンが置かれている状況について話をさせていただけますか?」と解説してくれたのは、次のような内容でした。

「ひとまず変動金利を選んで…」驚きの提案も

固定金利ローンと変動金利ローンはバックグラウンドが違い、固定金利ローンが「新発国債10年物」の利回りに連動しているのに対し、変動金利ローンの多くは「短期プライムレート」と呼ばれる銀行の1年未満の貸し出しに適用される優遇金利に連動していること。年末の日銀の変動幅の変更を受けて国債など長期の金利は上がっているけれど、今のところ、短期金利に大きな動きはない。1月17~18日の金融政策決定会合でも日銀は「大規模な金融緩和を維持する」としていることから、今後も短期金利が急上昇するというシナリオは考えづらいということ。

肥後さんの話は、住宅ローンの初心者の私にも大変分かりやすく、なおかつ、説得力のあるものでした。なるほど、専門家はそういう見方をしているのか、と思いました。

「後藤さんにとってマンション購入が不安でしかないなら、解約もやむなしかもしれません。しかし、楽しみな部分も多いのではないですか? 物件自体は立地も条件も良く、今後資産価値が大きく下落することはないと考えます。変動金利のローンについても、金利が上がったら即返済額がアップするという構造にはなっていません。むしろ今は固定金利ローンとの金利差が拡大していますから、ひとまず変動金利を選んでおいて、金利動向を見ながらこまめに繰り上げ返済をしていくというのも1つのやり方です」

肥後さんがそう言ってくれたことで、私の腹も決まりました。さらに、税金や手数料、マンションの管理費や修繕積立金など購入時や購入後にかかる費用にも注意が必要、不動産会社の提携ローンだけでなく金利や手数料も安いネット銀行の住宅ローンも検討してみた方がいいといった話もありました。少々驚いたのは、わが家の赤字家計について「ムダを削っていくことも大切だけれど、お二人ともまだ若いのだから、収入を増やしていくことを考えてはいかがですか?」という未来志向のアドバイスをいただいたことです。