最上階を契約するも状況が一変、不安が的中し…

7000万円近い購入価格には目玉が飛び出しそうでしたが、私には祖父からの相続などで2000万円を超える預貯金があり、仮に5000万円を借り入れたとしても、低金利の恩恵で試算した毎月の返済額も何とか返していけそうでした。唯一気になったのは、引き渡しが2年後の2023年になるということです。

「コロナで2年後に会社がどうなっているか分からないし、金利だって上がっているかもしれない。大丈夫かな」と私が弱気の言葉を口にすると、楽観主義者の妻は「日本は20年以上も低金利が続いているんだから、今さら急に金利が倍になるなんてあるわけないじゃない」と笑い飛ばしました。

「逆に2年もあるんだから、しっかりお金をためようよ」と言う妻に背中を押されるようにして最上階の部屋を契約。しかも妻はちゃっかり、居室に合わせたオーダーメードの家具セットまで注文していました。この時点でローン金利は0.5%弱。借入額5000万円を35年返済にすると、ボーナス返済なしでも返済月額は13万円ほどで済むはずだったのです。

そして2年後の今、あの頃とは大きく状況が変わってしまいました。しかも、皮肉なことに私の不安がことごとく的中した格好です。勤務先はコロナ禍で業績が伸び悩み、昇給はおろか手当もカットされて実質減収。ボーナスもこの2年間は数万円しか支給されていません。中小企業の悲しさで真っ先に研究開発費が削られ、かなり具体的な提案をしても何一つ実現せず仕事のストレスはたまるばかり。家計の方も2022年は値上げラッシュで光熱費や食費の負担が膨れ上がり、さらに妻が飼い始めたペットの猫の費用などが家計を圧迫したため、入居に備えてお金をためるどころか貯蓄を取り崩す始末です。