新しい制度「インボイス」って?
2023年10月から「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が始まります。端的にいうと、インボイス制度は「売上1000万円以下の事業者からも消費税を徴収するための制度」といえるでしょう。
インボイス制度の大まかなポイントを以下にまとめました。インボイス制度を理解するための前提条件が1~3で、4~5は今回の変更点を理解するポイントです。
【インボイス制度を理解するための5つのポイント】
1.一定の事業者は消費税を納付する義務がある(売上1000万円以下などの事業者は免除)
2.納める消費税は「受け取った消費税-支払った消費税」
3.支払った消費税のことを「仕入税額控除」という
4.制度開始後は「適格請求書発行事業者」からの仕入れでないと「仕入税額控除」に算入できなくなる(これ以外の事業者からの仕入れが避けられる可能性がある)
5.「適格請求書発行事業者」になるためには売上が1000万円以下でも消費税を納めなければいけない
事業者が納める消費税を抑えるためには「適格請求書発行事業者」から仕入れないといけません。そのため、その事業者に商品を買ってもらっている事業者は、適格請求書発行事業者にならないと取引を打ち切られる可能性があります。
所属税務署に申請すれば「適格請求書発行事業者」になれますが、その際は売上にかかわらず消費税を納付しなければいけません。もともと売上が1000万円を超えている事業者なら新たな負担はありませんが、売上が1000万円以下の小規模事業者の場合、実質的に新たに負担が増えることになります。
消費税を納めない私たちにとって直接的な関係はありません。強いていうなら、これまで免除されていた小規模事業者からも消費税の納付がある程度進むと考えられるため、社会保障の充実には役に立つでしょう。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。
AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。