前編では、20代の頃ハイブランド品を「武装」として身につけていた佐藤美和さん(仮名)がベトナム移住を経て価値観が変わったこと、そして世界的なインフレを目の当たりにして危機感を抱いた経緯をお伝えしました。

後編では、佐藤さんがどのようにしてインフレ時代を乗り切る知恵を見つけたのか、彼女独自の「お金の使い方」についてご紹介します。

●前編:「カッコつけなくてもいいんだ」都心でハイブランドに囲まれた30代女性、ベトナム移住で経験した“見栄”からの解放

インフレの現実が突きつけた危機感

2025年になり衝撃的な出来事がありました。ニュースでは連日「インフレ」「物価高」が叫ばれていましたが、私はそれを日本国内のスーパーの卵の値段ではなく、かつて暮らしたアジアの変化から痛感することになったのです。

日本に帰国後、久しぶりにベトナム行きの航空券とホテルを検索していた時、スマホを持つ手が止まりました。画面に表示された金額は、私の記憶にあるそれとは別物だったのです。

「高い……」

思わず声が出ました。ランチの価格も、滞在費も、かつて私が知っていた「安くて優しいアジア」はもうどこにもなかったのです。

その時、背筋が寒くなるような感覚を覚えました。大きな視点で見れば、これは「日本円の価値」だけの問題ではないのだと気付いたのです。

世界全体が成長してインフレが続く中、もし私が「日本円の預金」だけを握りしめていたらどうなるだろう? 相対的に私の資産は目減りし、あのベトナムで手に入れた「選択の自由」さえも維持できなくなるかもしれない。

「安い国ニッポン」に取り残されることへの確実な危機感。これが私のインフレ対策の原動力となったのです。