「背景を買う」という消費の新しい形

私のインフレ対策は、単なる「節約」という言葉では少し説明が足りません。あえて言うなら、「納得できるものだけに投票(購入)し、余力を未来へ送金(投資)すること」です。

まず、消費における対策。それは「背景を買う」ということです。象徴的なアイテムがあります。最近購入した、地元の作り手が手がけている「石鹸」です。

以前の私なら、ドラッグストアで特売のボディソープを何も考えずにカゴに入れていただろうと思います。しかし、値上げラッシュで日用品の価格が上がる中、私はあえて、一見すると割高なその石鹸を選びました。

琥珀色をしたその石鹸は、ハーブの野生的な香りがしました。作り手から直接話を聞く機会があったのですが、成分選びへのこだわりや、完成までの手間暇を聞くうちに、「この人の活動にお金を落としたい」と強く感じたのです。

どうせお金を使うなら、巨大な流通の中に消えていくよりも、自分の目が届く範囲で、顔の見える相手に経済を回したい。それは私なりの、小さな意思表示だったのです。

「本当に良いものを、ミニマムに使う」という哲学

そして実際に使ってみるとこれが最強の「インフレ対策」であることに気づきました。それは全身に使える石鹸だったのです。これ一つあれば、シャンプーも、洗顔料も、ボディソープもいらない。浴室には石鹸が一つあるだけ。

一回の購入金額は高くても、あれこれ買い揃える必要がなく、結果としてコストパフォーマンスは非常に高いものでした。おまけに、移動の多い生活をしている私にとって、液漏れの心配もなく気軽に持ち運べる固形石鹸は、旅先のアメニティを使わずに済むという点でも優秀です。ゴミも出ません。

「本当に良いものを、ミニマムに使う」

これが物の値段が上がり続ける時代に対する、私の足元の防衛策なのです。