義母からまさかの言葉

「あの人は痛風なのよ! それなのに、こんなものを送るなんてどうかしてるわ!」

加代の言葉は美月にとって初耳だった。

「す、すいませんでした。お義父さんが痛風になっていることを私は知らなかったもので……」

「だとしても夫の年齢を考えてものを送るのが普通でしょ⁉ わざわざこんな体を悪くするようなものを送りつけるなんて! どうせ何も考えずに選んだんでしょ⁉ それならもう来年からはお中元もお歳暮も結構よ! そもそもこちらは送ってくれなんてお願いしてもないんだしね」そう言って電話は一方的に切られてしまった。真っ黒になった画面を見て美月は唖然とし、長い沈黙のあとでようやくため息をついた。

    ◇

「ええ、父さんが痛風? そんなの聞いてないって」

帰ってきた孝に話をすると、孝も何も聞いていなかったらしく驚きの声をあげた。

「だよね。でもお義母さん、すごい剣幕で怒ってて」

「そんなのさぁ、言ってくれればこっちだって送らないけどな」

孝は不満そうに言いながら軽く頭を掻いた。

「じゃあ俺から母さんに話をしておくよ。こっちが一方的に悪いってされるのは嫌だし。だから美月はそんなに気にしなくていいからな」

それから孝は加代と話をしてくれて、こちらに一方的な非はないと説明をしてくれた。

ただどちらに責任があるのかという問題よりも、関係に溝ができてしまったことのほうが問題だと美月は思っていた。

だから美月は年末年始の休みを利用して義実家に帰省をすることにした。気は進まないが仕方ないと思った。