一歩も引かない嫁姑バトル
怒りと呆れを堪えて向かったリビングでは、喜代がテレビの天気予報をかじりつくように凝視していた。
「あの水はお義母さんが買われたんですか?」
「そうよ。すごく安かったのよ」
喜代はテレビから目を離さずに返してくる。
「もうどこにも置けないですよ。ストールームの中がいっぱいなのはお義母さんが1番知ってますよね? それに水だってすでにあるじゃないですか」
「水だって鮮度が大事なのよ。それに、別に水なんてどこにでも置いておけるでしょ。直接日光が当たらない場所に保管しておいてもらえばいいから」
当然のように指示をしてくる喜代の態度が癪に障る。
「これ以上水を買うのはやめてもらっていいですか? 備蓄分は十分にあるはずです。これ以上は邪魔になりますから」
美奈子はきつめに注意をする。すると喜代が少し怒った顔をこちらに向けてきた。
「だったら普通に飲めば良いじゃない。水なんて何にでも使えるんだから」
「それはそうですけどウチにはウォーターサーバーもありますから。必要以上に買うのは控えてほしいです」
「なんであなたにそんなことを言われないといけないのよ……⁉」
「お義母さんが災害グッズを買うお金、うちの家計から出てるんですよ? 今までは我慢してきましたけど、これ以上無駄な買い物するなら、もう渡さないように言いますからね」
「私は家族のためにやってるのよ!」
喜代は目を剥いて怒ってきた。しかし美奈子は一切怯むことはなかった。
「家のローンだってあるし、子供の将来のための蓄えだって必要なんですよ! 家族を守るためと仰るのならまず無駄遣いを辞めて頂きたいですね!」