資産6000万円でFIREした息子

「FIRE(Financial Independent Retire Early)」という言葉が近年話題になっています。実際に若いうちにまとまった資産をつくり、仕事を早期リタイアする人も珍しくありません。しかし、FIREによって親の生活を不安にしてしまうことも……。

65歳の主婦、大橋和代さん(仮名)は、夫と二人で質素ながらそれなりにゆとりを持った生活を送っていました。

大橋さんには40歳になる息子の拓人さん(仮名)がいて、独身で地方のIT企業に勤めていましたが、5年前に「FIREを達成した」として会社を辞め、フリーランスとして生活していました。

拓人さんは、新卒で地元のシステム会社に就職し、年収は600万円前後でしたが、これといった趣味もなく、物欲もなく、さほど生活費も必要なかったため、20代からコツコツと全世界株式型の投資信託で積立投資を続け、特に30歳を過ぎてからはNISAなども活用し40歳の時点で資産は6000万円に達していたのでした。

「これだけあれば十分だろう……。フリーランスで仕事していけば十分生活できるだろう」

そう考えた拓人さんは、会社を辞めたのでした。自宅でホームページ制作などの仕事をフリーランスとして受けながら、気ままな生活を送るはずでした。しかし、そんな拓人さんがある日実家に帰ってくることになりました。