社会保険料控除で所得税が戻ってくる仕組み

社会人になって給与収入が得られるようになると、これに所得税が発生することになります。諒一さんはその所得税のことから詳しく説明してもらいました。

1年間の所得に対して課税される所得税は、全ての所得に対して課税されるのではなく、所得のうち「課税所得金額」とされる額に税率を掛けて算出されます。入社して以降給与から引かれる厚生年金保険料や健康保険料だけでなく、学生時代の国民年金保険料は、税制上は社会保険料控除の対象になり、所得から社会保険料控除を引くとその分課税所得金額が減ることになります。課税所得金額が減った結果、所得税の額も減ることにつながります。

続いて所得税の徴収についての解説がされます。「給与については研修でも言ったけど、所得税が天引きされる。源泉徴収といって、まぁ、概算でちょっと多めに天引きされることになる」と源泉徴収がされることが伝えられます。

続けて「けど、最終的には1年間の所得を確定して正確な所得税を計算しなきゃいけない。そのための事務が年末調整で、12月支給の給与で年末調整がされるけど、その案内はまた11月くらいにされることになる。その年末調整で、それまで多めに徴収されていた所得税が一部でも戻ってくることになるよ」と年末調整の説明がされました。

そして、「ここで、1年の間に国民年金保険料を払っていたのなら、その分の社会保険料控除は年末調整で初めて計算されるから、その分戻ってくる所得税も多くなる仕組み。だから所得税の計算のため、所得税の戻りを多くするため、払った保険料額の証明がほしいわけ」とのことでした。

もし、年末調整に間に合わないことになった場合でも、翌年2月16日~3月15日に自分で確定申告をすれば、控除を受け、所得税の還付がされることも補足されました。

住民税まで軽減できる!

諒一さんが給与や税金、社会保険料のことに興味を持ってくれたため、担当者はさらに説明します。「あと今から言っておくと、入社2年目の6月から住民税が給与から引かれるよ。まぁ、住民税の影響で手取りは減るよね。ただ、追納した国民年金保険料による社会保険料控除があれば、住民税についても軽減できることにはなっている。今年の課税所得金額がいくらになるかで来年6月から1年間の住民税の額が決まることになるから」とのことでした。

こうして、諒一さんは内容を理解し、早めに国民年金保険料を払って備えることになりました。また、年末調整のこともよく覚えておくことにしました。そして、このことをきっかけにさらに社会保険や税金のことに関心を持つようになり、社会人としてこれからの給与やお金の管理もしっかりやることに決めたのでした。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。