夫が亡くなるとすず子さんの生活はどうなる?
勝郎さんが亡くなると、すず子さんは遺族厚生年金を受け取れますが、遺族厚生年金は次の①と②を比較し、高い方の額となります。
①「死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」
②「死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の2分の1と自身の老齢厚生年金の額の2分の1を合算した額」
すず子さんは、厚生年金に加入した経験はないため老齢厚生年金はありません。①の金額の方が高いため、すず子さんは①を選択することになり、遺族厚生年金は約10万円となります。一方で勝郎さんにかかる医療費などはゼロになります。つまり、トントンの生活から約10万円の黒字になるということです。
(現在)
収入:勝郎さんの年金 17万円
支出:勝郎さんの医療費など 17万円
収支:ゼロ
(夫死亡後)
収入:遺族年金 10万円
支出:勝郎さんの医療費 0円
収支:+10万円
なお、すず子さんの収支は、すず子さんの年金が約5万円、生活費が約8万円で毎月3万円ほど貯金を切り崩しながら生活しています。しかし、年金が遺族年金に変化すると遺族年金の10万円から毎月の赤字分3万円を補填できるため、貯金を切り崩す必要はなくなります。
さらに遺族年金は非課税です。すず子さんの老齢年金は年間60万円ですから、こちらも非課税の範囲内となり住民税非課税世帯になります。現在は、勝郎さんの年金が約20万円ありますから、住民税非課税世帯になることはできません。しかし、住民税非課税世帯になると医療費の自己負担割合や高額療養費の自己負担額が減ったり、政府が時々行ういわゆるバラマキの給付金も受け取れとれたりする可能性が高くなりますし、低年金の人が受け取れる月約5000円の年金生活者支援給付金を受け取れることにもなるでしょう。