もし遺族年金について正しく理解していたら…
ところが、すず子さんはこのような計算はもちろん遺族年金の方が生活がラクになることを考えすらしていません。週に2回お見舞いに行って、医療費や施設費を払っても勝郎さんの年金があった方がトクだと信じきっているのです。
現在、勝郎さんは、ほとんど自分で動くことはできず子どもや孫がお見舞いに行っても認識しているのか、そもそも見えているのかどうか、ほぼ無表情という状況です。それでも、子どもが最後に「お父さんまたね」と言うと、ゆっくり手を上げてくれるそうです。まさに、自分の意志とは関係なく、延命治療によってただ生かされ続ける人生。
現在、すず子さんは貯金の切り崩し生活ではあるものの、趣味の絵画教室に通い人生を楽しんでいるため、これはこれで幸せなのでしょう。しかし、遺族年金について正しく理解していたら夫婦ともに望む選択ができたかもしれません。
現在、年金を受給している人、あるいはこれから年金生活に入る人は、自分の年金額や遺族年金について確認していますか? これら年金額を知ることで今後の人生設計を考えやすくなります。まずは、年金事務所に行って確認してみることをおすすめします。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。