厄介な管理費未納問題
そんなタイミングで回ってきたのがマンションの管理組合の役員でした。コロナ明けからぐんと仕事が忙しくなった営業マンの夫は、「あゆみ、高校時代はずっと学級委員だったし、こういうの得意だろ? 育休で時間もあることだし、頼むよ」と完全に私にお任せモード。幼い唯奈の子育ての苦労も知らないくせにとちょっとムッとしましたが、役員候補の1人がママ友だったこともあり、「何とかなるだろう」と軽い気持ちで引き受けたのです。
前任者の方からは、大手不動産系列の管理会社がサポートしてくれるので、年に1度の総会やマンション内配布用の資料の作成は全て管理会社の担当者が代行してくれると聞きました。「なぁんだ、オニ楽勝じゃん」と思いきや、「1つだけ厄介な問題がある」と言います。それが、301号室の津島さんの管理費未納問題でした。
聞けば、津島さんは当初から、マンションの管理費や修繕積立金を1度として支払っていないのだとか。理事会としてはマニュアル通りに管理会社を通して何度か支払いの催告などをしてきたそうですが、暖簾に腕押しだったようです。
津島さんご夫婦は見たところ60代後半くらい。我が家と同世代が多いこのマンションの住民の中では少し浮いた存在で、マンション内に親しくお付き合いしている人はいませんでした。とはいえ、このマンションの地権者の一族らしく、マンションの規約違反である大型犬を堂々と飼い、これ見よがしにエレベーターに乗せていても誰も文句を言えない雰囲気でした。