助言がなければ100万円近い税金を支払うことになったかもしれない

私にとって、この指摘は盲点でした。ビットコインを売り抜けることでどれくらいの税金を払う必要があるのかということしか、考えていなかったからです。“年金生活1年生”だったこともあり、自分の年金の税金がどうなるかもよく分かっていませんでした。

「では、売らない方がいいということですね」と落胆する私に土岐田さんが提案したのが、20万円以内に収まる形で利益の一部を売却することでした。確かにそれなら、年金の申告不要制度も使えます。

「工藤さんはビットコインを手じまいすることをお考えだったのでしょうが、当面は年20万円以内を目指して売っていくというのが、値動きの激しいビットコインのような投資商品では悪くないやり方だと思います」

さらに、「ビットコインの業界団体などは株式などと同じ一律20.315%の課税や3年間の繰り越し控除ができるような税制への変更を国に対して要望しています。将来税制が変わったら、その時点で対応を考えてはいかがでしょう」といったアドバイスもくれました。

後から冷静に考えると、土岐田さんの助言を受けていなければ本当に危ないところでした。素人考えで慌てて全部を売り払っていたら、住民税とあわせて100万円近い税金が降りかかってきたかもしれません。

さらに、土岐田さんとの会話は、現場を離れて久しい私にとっていい頭の体操にもなりました。

聞けば、同世代の金融関係者やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)と連携して包括的な金融サービスを行うことも考えているというので、「ぜひとも利用したいから、その際は声をかけてほしい」とお願いした次第です。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。