暗号資産の課税の仕組みとは? 

まずは、暗号資産の税制について。暗号資産は税務上の「雑所得」に分類され、経費を差し引いて年間20万円を超える利益を出すと申告の必要があります。ちなみに、この「利益を出す」とはいわゆる利確をしたり、買い物などの決済手段として使ったりしたケースを指します。

申告すると総合課税の対象となり、他の所得と合算した総所得から税額を算出するため、累進課税(所得や資産が大きいほど税率が高くなる課税方式)の所得税では課税額が膨らみがちです。

証券会社の特定口座(源泉徴収あり)で株式の取引を行った場合、利益に対しては一律20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)が課税され、別途申告する必要はありません。また、株式投資で大きな損失を出した場合は、その翌年から最長3年間の利益と相殺することができます。

暗号資産にはこうした制度が整備されていないため、税制面で不利と言われているのです。

土岐田さんの説明は、わざわざややこしい言い回しをしているのかと勘繰りたくもなる国税庁の資料などと違って、税務の素人の私にも非常に分かりやすいものでした。

課税の仕組みを理解したところで、土岐田さんが指摘したのは私の年金への課税のことでした。

「工藤さんの年金収入は年間400万円以下なので、申告不要制度が利用できます。工藤さんも奥さまもお元気で医療費控除の申告の必要もないようですから、この制度を利用されるのが望ましいと思います。ただ、ビットコインで20万円を超える利益を出して申告をする場合、年金の分もあわせて申告しなければならないんですよ。となると、税額が一気にアップします」