<前編のあらすじ>
工藤敏さん(仮名)は、神奈川県在住の元会社員で、1年前から本格的な年金生活に入りました。奥さまの分とあわせると500万円近い年金収入がありますが、1年遅れの住民税の支払いや昨今の物価高で、それほど余裕があるわけではないようです。
工藤さんは、60歳で定年を迎えた後、退職一時金でビットコインを購入していました。その後、昨秋のアメリカ大統領選を機に盛り上がったトランプ・トレードで、数百万円の利益が乗ることになります。
「売る気満々」でいた工藤さんでしたが、投資情報サイトなどで指摘されていた課税関係が気になり、暗号資産の税制に詳しい専門家に相談することにしました。
●前編:【「投資したことすら忘れていた」年金生活を開始後、想定外の資産が高騰…60代男性がハマりかけた“税金の罠”】
存在を忘れていたビットコインを久しぶりに見てみると…
私は65歳で完全リタイアして間もなく1年になる元会社員です。
子供2人は独立し、神奈川県内の自宅で妻と2人で暮らしています。年金収入は夫婦であわせると年間500万円近くになり、同世代では恵まれている方かもしれません。それでも、この物価高のご時世、決して悠々自適というわけではありません。
そんな私がこのところ気にかけていたのが、アメリカ大統領選挙のトランプ・トレードで大きく値上がりしている暗号資産のことでした。実は定年して退職一時金を受け取った際、運用の一環としてビットコインにも投資していたのです。
とはいえ、投資の指南をしてくれた同僚から「とにかく値動きが激しく、いちいち相場を見ていたら心臓に悪い。長期的には成長していくはずだから、ほったらかしでいいと思う」と言われ、この数年間は本当に投資したこと自体を忘れていました。
しかし、ビットコインが10万ドルを超えたというニュースを見て久々にログインしてマイページを開いたら、わずかな投資額にもかかわらず何百万円もの利益が乗っていることが分かりました。